Ubuntu 20.04/22.04 へのインストール(debian package版)#

著者

稲村泰弘

最終更新日

Apr. 6th, 2023

概要#

本章では空蟬環境をUbuntu 20.04/22.04 に対しDebianバイナリパッケージでインストールする方法を示す。

なお、2022年11月現在で、対応しているMLFにおけるビームラインは以下の通りである。

Available beam lines for Utsusemi debian packages#

BL(code)

注意点

状況

BL01(SIK)

特になし

対応済み

BL02(DNA)

QENSfitは含まず

対応済み

BL14(AMR)

特になし

対応済み

BL11(HPN)

Teuseは含まず

対応済み

BL15(SAS)

Dviewは含まず

対応済み

動作環境#

本章で使用するパッケージの対象OSは以下の通りである。

Available Ubuntu Linux version#

Ubuntu Linux

Architecture

20.04 LTS

x86_64 (amd64)

22.04 LTS

他のOS(CentOSなど)にインストールしたい場合は、CentOS 7 へのインストールマニュアルなどを参照のこと。 .. Ubuntuは、もっとも導入が優しいLinuxディストリビューションの一つであり、必要なライブラリが全てパッケージ化されていることから選択された。

事前の確認事項#

Ubuntu Linuxは目的のPCに既に導入されていることを想定 している。また極力OSで提供されているパッケージを利用するため、そのOSに対応したインストール用レポジトリにアクセスできる、つまりPCがネットに接続された状態にしておくこと。 インストールするためには root 権限が必要である。

古い空蟬(スクリプト版)の削除#

空蝉は、デフォルト設定では、下記の場所にインストールされている。

/opt/mlfsoft/

このフォルダがない場合(空蟬をインストールした経験がない)本節を無視して良い。

なお、過去にDebianパッケージによるインストールを行なっていた場合は 本節を行わずに次に進む こと。次節以降のインストール作業により、自動的に上書き(更新)される。

どのようにインストールされたかわからない場合は以下のコマンドで確認すること。

$ sudo dpkg -l mlf-manyo1

Debianパッケージによってインストールされている場合は以下のように表示される。

$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
Desired=Unknown/Install/Remove/Purge/Hold
| Status=Not/Inst/Conf-files/Unpacked/halF-conf/Half-inst/trig-aWait/Trig-pend
|/ Err?=(none)/Reinst-required (Status,Err: uppercase=bad)
||/ Name             Version            Architecture Description
+++-================-==================-============-==========================>
ii  mlf-manyo1:amd64 0.3.4.210713-ubu20 amd64        Manyo Library

Debianパッケージでインストールされていない場合は下記のように表示される。

$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
[sudo] password for hoge:
dpkg-query: no packages found matching mlf-manyo1

上記のように目的のUbuntuに、Debianパッケージでインストールされていなかった場合(スクリプトでインストールするタイプ、 すなわち”python3 Install.py”コマンドでインストールした場合)、下記のようにフォルダを削除する。

$ sudo rm -rf /opt/mlfsoft

手順の概要#

主な手順としては、以下の通りである。

  • インストール

    • Ubuntuのレポジトリ情報の更新

    • インストール用スクリプトの実行、もしくは各種パッケージ(mlf-manyo1パッケージ, mlf-utsusemi-with-ugaoパッケージなど)のインストール

  • 環境設定

インストール#

Ubuntuのレポジトリ情報の更新#

Ubuntuのレポジトリ情報を最新にするために、以下のコマンドを実行する。

$ sudo apt update

このステップ以降、インターネットへの接続が必要であるが、このコマンドがエラーなく実行できていれば問題ない。 そのほかWebブラウザなどで確認することもできる。実際のネットワークの設定や、確認方法は割愛する。

簡易インストール#

最も簡単な方法はインストール用スクリプト( installUtsusemi_FromDebianPackages.sh )をダウンロードし、root権限で実行することである。

具体的には下記のように行う。

$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
[sudo] password for xxx:

これにより、Ubuntuのバージョン(20.04/22.04)に応じたパッケージファイルの最新版の全てが自動的にダウンロードされ、インストールされる。パッケージファイルは、上記のスクリプトを動作したフォルダ内にダウンロードされ、スクリプト内でroot権限 (sudo)にて実行される。インストール後にこれらのスクリプトやパッケージファイルは削除して良い。

なお、このスクリプトによりインストールされるパッケージは下記の通りである。

List of available debian packages#

パッケージ名

インストール対象

必要なパッケージ

BL

mlf-manyo1

万葉ライブラリ

全BL共通

mlf-utsusemi-with-ugao

空蟬一式(夕顔も含む)

mlf-manyo1

全BL共通

mlf-utsusemi-sas

BL15(大観)データ処理用コード

mlf-utsusemi-with-ugao

BL15

mlf-utsusemi-dna

BL02(DNA)データ処理用コード

mlf-utsusemi-with-ugao

BL02

特定のビームラインのみ#

できるだけ不要なパッケージをインストールしたくない場合、使用したいビームライン環境に必要なパッケージのみダウンロードして直接インストールすることも可能である。

インストールスクリプトの引数として、使用したビームラインの装置コードを与えるだけである。

ビームライン

コード

名称

BL01

SIK

四季

BL02

DNA

DNA

BL11

HPN

Planet

BL14

AMR

アマテラス

BL15

SAS

大観

以下は四季(SIK)に必要なパッケージをインストールする例である。

$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh SIK
[sudo] password for xxx:

なお、スクリプトでダウンロードされるパッケージについては下記のようになる。

Required packages for each beamline#

Packages name

BL01

BL02

BL11

BL14

BL15

mlf-manyo1

o

o

o

o

o

mlf-utsusemi-with-ugao

o

o

o

o

o

mlf-utsusemi-sas

o

mlf-utsusemi-dna

o

実際のパッケージファイルの名前は、以下のように、パッケージ名にバージョン、ディストリブーション (ubu20, ubu22) やアーキテクチャ(amd64)などがついた名前となる。

Example names of actual debian packages#

ファイル名の例

mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb

mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

ファイル名に含まれる 0.3.4 (mlf-manyo1) および 4.0 (mlf-utsusemi-with-ugao)はリリース番号と呼ばれ、比較的大きなバージョンアップがあった場合に新たに付与される。 210713 はソースコードの最終変更日でリリース番号とは独立にコードのアップデートとともに増加する。 ubu20 はインストール先のUbuntuのバージョン、 amd64 はCPUのタイプ(アーキテクチャ)を示す。

手動インストール#

スクリプトを使用せずにパッケージファイル個別にインストールする場合のやり方を示す。最新版のパッケージに何らかの不具合があった場合など、古いバージョンが必要となることもあるためである。

なおダウンロードは、空蝉インストールポータル( LINK )から可能であるが、古いパッケージに対するリンクはないので、ファイル名を直接入力すること。

万葉ライブラリと空蟬環境(+夕顔)#

パッケージ名は以下の二つである。

  • mlf-manyo1

  • mlf-utsusemi-with-ugao

この二つは、全てのビームライン(BL01, BL02, BL11, BL14, BL15)で必要である。

ダウンロードしたファイル(例: mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb , mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb )を以下のように指定して実行する。

まず、万葉ライブラリをインストールする。

$ sudo apt install ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb

ここでファイルの指定として、フォルダなども含めたパス(フルパス)が必要である。上記は同じファイルと同じフォルダにいるので、 ./ で代用できる。下記のようにファイル名だけ書いてもエラーになるので注意すること。

$ sudo apt install mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
ERROR : Unable to locate package

なお、実行時のログは以下のようなものである。

$ sudo apt install ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
[sudo] password for hoge:
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
Note, selecting 'mlf-manyo1' instead of '/media/psf/Home/Ubuntu20.04/mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb'
The following additional packages will be installed:
  libaec0 libboost-program-options1.71.0 libboost-serialization1.71.0 libgfortran5 libgsl23 libgslcblas0 libhdf4-0 libhdf5-103
  libnexus1 libsz2
Suggested packages:
  gsl-ref-psdoc | gsl-doc-pdf | gsl-doc-info | gsl-ref-html libhdf4-doc libhdf4-dev hdf4-tools
The following NEW packages will be installed:
  libaec0 libboost-program-options1.71.0 libboost-serialization1.71.0 libgfortran5 libgsl23 libgslcblas0 libhdf4-0 libhdf5-103
  libnexus1 libsz2 mlf-manyo1
0 upgraded, 11 newly installed, 0 to remove and 0 not upgraded.
Need to get 4,050 kB/5,722 kB of archives.
After this operation, 27.1 MB of additional disk space will be used.
Do you want to continue? [Y/n]

途中でインストール継続確認のメッセージが表示される。インストールに支障がなければ、 y を入力する。こののちインストールが始まる。特にエラーが起きていなければインストールは終了している。なお、aptのオプションに -y を加えておけば継続確認をされることはない。

$ sudo apt install -y ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb

次に空蟬環境(+夕顔)のインストールを下記のように実行する。

$ sudo apt install ./mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

実行時のログは以下のようなものである。

$ sudo apt install ./mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
Note, selecting 'mlf-utsusemi-with-ugao' instead of '/media/psf/Home/Ubuntu20.04/mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210210-ubu20_amd64.deb'
The following additional packages will be installed:
  blt fonts-lyx javascript-common libblas3 libdouble-conversion3 libjs-jquery libjs-jquery-ui liblapack3

(中略)

python3-pyside2.qtgui python3-pyside2.qtwidgets python3-scipy python3-tk qt5-gtk-platformtheme qttranslations5-l10n
tk8.6-blt2.5 ttf-bitstream-vera
0 upgraded, 40 newly installed, 0 to remove and 0 not upgraded.
Need to get 43.2 MB/63.7 MB of archives.
After this operation, 243 MB of additional disk space will be used.
Do you want to continue? [Y/n]

途中で確認のメッセージが表示される。インストールに支障がなければ、 y を入力する。こののちインストールが始まる。特にエラーが起きていなければ良い。

BL15環境のインストール#

BL15は別途専用パッケージがあるので、それをダウンロードし(例 : mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb)、同様に指定して実行する。

$ sudo apt install -y ./mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

BL02環境のインストール#

BL02は別途専用パッケージがあるので、それをダウンロードし(例 : mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb)、同様に指定して実行する。

$ sudo apt install -y ./mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb

初期設定#

空蟬における初期設定は、

  1. 必要なデータフォルダの作成

  2. データ処理用フォルダの作成

  3. 環境変数の設定

である。

なお、デフォルトのインストール先は、下記のようになっている。

Default path of MLF software installation#

デフォルト場所

説明

/opt/mlfsoft/

万葉ライブラリや空蟬など、MLFで開発されたソフトウェアがインストールされる場所

データフォルダの作成#

データフォルダとはMLFでの使用ルールに則ってRAWデータを格納する場所である。

デフォルトの場所(既存の環境変数設定ファイルでの設定)は以下のようになる。

Default path of data folder#

デフォルト場所

説明

/data

各分光器のイベントデータディレクトリが置かれる場所。 この場所に 解析に必要となる各装置のデータを置くためのフォルダである

SIK/

AMR/

などが作成される。

この場所は、後述する環境設定アプリ内で設定できる DATA_DIR 設定、もしくは環境変数 ( UTSUSEMI_DATA_DIR )にて指定されている必要がある。

データフォルダは使用するBLのコードを使用して下記のように作成しておく。

$ sudo mkdir -p /data/SIK
$ sudo mkdir -p /data/AMR
$ sudo mkdir -p /data/HPN
$ sudo mkdir -p /data/SAS
$ sudo mkdir -p /data/DNA

デフォルトの場所 /data でなくても良いので、例えば下記のようにホームフォルダに作成して、環境設定アプリの DATA_DIR 設定で指定しても良い。

$ mkdir -p ~/data/SIK

データ処理用フォルダの作成#

空蟬の一部のデータ処理機能が作成する一時ファイルやユーザー専用のパラメータファイルなどを保存するためのフォルダを予め作成する作成しておく必要がある。

通常はユーザーのホームフォルダに ana というフォルダを作成し、その下に xml 及び tmp フォルダを作成する。

$ mkdir -p ~/ana/xml
$ mkdir -p ~/ana/tmp

この ana フォルダのある場所(上記の例ではホームフォルダ)は、後述する環境設定アプリ内での USR_DIR 設定、もしくは環境変数 UTSUSEMI_USR_DIR にて指定しておく必要がある。

さらにBL02の環境では、ホームフォルダに以下のようなフォルダ(ana/DNA)を作成して必要なファイルなどをコピーしておく必要がある。

$ mkdir -p ~/ana/DNA
$ cp -r /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/environ-home/ana/* ~/ana/DNA

環境設定#

環境設定とは空蟬を動作させるのに必要な環境変数を設定するもので、下記のコマンドを実行するだけである(コマンド実行のパスに空蟬の実行ファイル場所を追加)。

$ export PATH=/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/:${PATH}

この設定により、下記の空蟬アプリケーションが実行できるようになる。

Utsusemi applications on Ubuntu Linux#

Utsusemiアプリケーション

説明

EnvironSetting

【初期設定】空蟬の各種設定を行う

Sequencer, Ana

SequenceEditorを起動する

M2Plot

M2Plot+を起動する

MPlot

MPlotを起動する

D4mat

【非弾性】D4MatSlicerを起動する

D4mat2

【非弾性】D4Mat2Slicerを起動する

UtsusemiShell

空蟬環境ターミナル(bash)を起動する

なお、インストール直後は、必ず一度 EnvironSetting を実行して、次節の空蟬環境設定を行うこと。

上記の PAHT の設定を行なって初期設定を終わらせれば上記のアプリケーションが起動し、そのアプリケーション上で処理が可能となる。

ただし、 PATH の設定だけではターミナル上では空蟬の内部コマンドやそれらを用いたスクリプトの実行はできない。ターミナル上でそれらを行いたい場合は UtsusemiShell を実行する。

$ UtsusemiShell

この状態であればターミナル上で空蟬のコマンドやスクリプトが実行できる。

もしくは下記のようなコマンドでも可能である。

source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv

もしログイン時から空蟬環境を有効にしたい場合は、例えば ~/.bashrc などに下記を追加しておけば良い。

# Utsusemi4 environments
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv ]; then
    export PATH=${PATH}:/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin
    # スクリプトをターミナルで実行する場合、以下が必要
    source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv
fi

空蟬環境設定#

空蟬環境設定はインストール直後に必ず最低一度は実行して設定を済ませる必要がある。未設定だと空蟬アプリケーションが起動しない。 インストールされたアプリ EnvironSetting を以下のように起動して行う。

$ EnvironSetting

このアプリケーションで設定できる内容は以下の通りである。

  • 使用する装置環境(BL01, BL11, BL14, BL15)

  • データフォルダとデータ処理用フォルダ

  • ログを残すかどうか

  • GUIアプリのデフォルトフォントサイズ

  • 高速化のための並列計算の数

  • デバッグモードのオン・オフ

よって、違う装置(ビームライン, BL)のデータを解析する場合は、この環境設定で装置環境を切り替える必要がある。

環境設定の項目は以下の通り。

Environment variables for Utsusemi#

設定(環境変数)

役割

Instrument

解析に使用するデータの装置の選択を行う。 これにより、使用するRAWデータフォルダ、使用できるコマンドなどが変化する。

Log quiet

解析コマンドのログを減らす場合に使用する。普段はYESで良い。

Font Size

GUIアプリのフォントサイズを定義する。通常は12で良いだろう。 大きくしたり小さくしたりはできるが、GUIパーツ(ボタンなど)やレイアウトが崩れる可能性があるので注意。

Debug mode

空蟬のデバッグモード。普段はNO(チェックボックスオフ)で良い。

Number of threads

一部の解析コマンドが使用するマルチスレッドの最大値を設定する (通常は実行するPCのコアの数程度を設定すると良い)

DATA_DIR

イベントデータなどRAWデータを格納するフォルダ。(前項の例では /data や ~/data)

USR_DIR

空蟬が作成する一時ファイルを保存し、ユーザー専用のパラメータファイルが置かれるフォルダである。 通常このフォルダの下にanaフォルダが置かれる。(前項の例ではホームフォルダ ~/) なお指定したフォルダが存在しない場合は作成可能であれば作成される。

WORK_DIR

空蟬アプリケーションを起動した時のカレントディレクトリを指定する。

(旧)環境変数の設定#

空蟬を使用する方法として環境変数自体を直接設定する方法もある。ただし手動で環境変数を変更するので、Linuxに慣れたユーザー以外は非推奨である。

空蟬を動作させるのに必要な環境変数を手動で設定する。それらはBLごとに異なり、雛形となるファイルはそれぞれ下記の場所にある。

Path to the environment setting file for each BL#

対象BL

設定ファイル

BL01(四季)

/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK

BL02(DNA)

/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.SIK

BL10(PLANET)

/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN

BL14(アマテラス)

/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR

BL15(大観)

/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS

これらの雛形ファイルにおける、空蟬用環境変数は以下のようになる。

Environment variables for Utsusemi#

環境変数

デフォルト値

役割、意味

UTSUSEMI_INST_CODE

<inst-code>

装置コード(SIK,AMRなど)

UTSUSEMI_DATA_DIR

“/data”

データフォルダの指定

UTSUSEMI_USR_DIR

${UTSUSEMI_USR_DIR-${HOME}}

ユーザーのフォルダ(デフォルトはホームフォルダ)

UTSUSEMI_LOG_QUIET

n

データ処理実行時のログ表示。”Y”だとかなり減る

UTSUSEMI_MULTH

8

データ処理実行時のマルチプロセッシングの数

UTSUSEMI_DEBUGMODE

n

デバッグ用フラグ(デフォルトnで良い)

これらのファイルに書かれている環境変数の設定を有効にするには、以下のようなコマンドを実行する。

$ source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK
===========================================
 Welcome to Utsusemi Environment for SIK
                             ver 4.0
===========================================
 Ana   : Sequencer
 M2Plot: M2PlotPlus
 D4mat : D4MatSlicer
 D4mat2: D4Mat2Slicer
===========================================

ただ、このやり方では扱いにくいので、下記のような設定を、例えば “~/.bashrc”に追記するとよい。

# Utsusemi4 environments
# For BL01 (SIK)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK ]; then
   alias SIK="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK"
fi

# For BL02 (DNA)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.DNA ]; then
   alias DNA="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.DNA"
fi

# For BL11 (HPN)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN ]; then
   alias HPN="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN"
fi

# For BL14 (AMR)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR ]; then
   alias AMR="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR"
fi

# For BL15 (SAS)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS ]; then
   alias SAS="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS"
fi

これを”~/.bashrc”に追記したのち、有効にするために以下のようにコマンドを打つ。

$ source ~/.bashrc

もしくは、ターミナルを閉じて、再度開くと有効となっている。

環境が有効になったかどうかは、それぞれの分光器の環境へ移るためのキーワードを打ち込む。キーワードは、各分光器の略称である。

Key codes to set environment#

装置

キーワード

四季(BL01)

SIK

DNA (BL02)

DNA

プラネット(BL11)

HPN

アマテラス(BL14)

AMR

大観(BL15)

SAS

例えば四季の場合なら以下のように表示される。

$ SIK
===========================================
 Welcome to Utsusemi Environment for SIK
                             ver 4.0
===========================================
 Ana   : Sequencer
 M2Plot: M2PlotPlus
 D4mat : D4MatSlicer
 D4mat2: D4Mat2Slicer
===========================================
$

BL01 (SIK) の環境への移行が完了したことがわかるメッセージが表示される。

なお、自分の環境で個別に環境変数を設定したい場合は、それぞれのbashrc.py3.XXXファイルをコピーして改変すれば良いだろう。特にデータファイルの置き場所を変更した場合、例えばホームフォルダ以下に設置する場合などには、 UTSUSEMI_DATA_DIR の設定を変更した bashrc.py3.XXX を準備し、.bashrc内で設定を有効にするようにすれば良いだろう。

ただし詳細は述べない。

空蟬の実行#

初期設定が正しく終わっていれば、ターミナルから空蟬アプリケーション、もしくは空蟬コマンドが実行できる。例えば空蟬の基本GUIであるSequencerの起動は以下のようになる。

$ Sequencer

もしくは

$ Ana

そのほか前節で示したような、 M2Plot , D4mat , D4mat2 といったアプリケーションも同様に起動できる。

空蟬のバージョン確認#

空蟬のバージョンの確認方法を示す。バグなどの報告や、アップデートする際の目安となる。 前節の空蟬環境の有効化を済ませたのちに下記のコマンドを入力する。

$ python3
>>> import utsusemi
>>> utsusemi.__version__
'4.0.220825'

もしくは

$ python3
>>> import UtsusemiInfo
---------------------------------------------
               Utsusemi Info
---------------------------------------------
         version : 4.0 (rev 220825)
  Contact person : Yasuhiro Inamura
      e-mail : yasuhiro.inamura@j-parc.jp
---------------------------------------------

Manyo>>>

リリース番号とバージョン番号が表示される。何か空蟬で問題が発生した場合はこの情報も一緒に連絡すること。もしくはパッケージ自体のバージョンでも良い。

$ sudo apt show mlf-utsusemi-with-ugao
[sudo] password for hoge:
Package: mlf-utsusemi-with-ugao
Version: 4.0.210816-ubu20
Status: install ok installed
(後略)

アンインストール#

アンインストールを行う場合は下記のコマンドを実行すれば良い。順番はインストールの時の逆順で、 mlf-utsusemi-dna, mlf-utsusemi-sas, mlf-utsusemi-with-ugao、最後に mlf-manyo1 である。

$ sudo apt remove mlf-utsusemi-dna
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-sas
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-with-ugao
$ sudo apt remove mlf-manyo1

なお、まだいくつかの関連するフォルダがあるので、必要に応じて削除する。

インストール時に作成したデータフォルダの削除は下記のように行うことができる。

$ rm -rf /data

また、一時ファイル保存フォルダは下記のように削除可能である。

$ rm -rf ~/ana

問題が発生した場合#

インストール時にエラーや予期せぬ状態になった場合、使用したOSとインストール方法を確認して手順に問題がないようなら、担当者(著者)へ状況報告をお願いしたい。

インストール後の動作に問題が発生した場合は、前節に示した空蟬のバージョンを確認し、発生した事象を担当者(著者)まで報告していただきたい。

その他の情報#

万葉ライブラリパッケージ(mlf-manyo1)に必須のパッケージは以下の通りである。

Package names required for Manyo library installation#

パッケージ名(バージョンは省略)

libboost-system

libboost-filesystem

libboost-serialization

libboost-program-options

libgsl

libhdf5

libnexus

libssl

空蟬環境パッケージ(mlf-utsusemi-with-ugao)に必須のパッケージは以下の通りである。

Package names required for Utsusemi installation#
Ubuntu 20.04用パッケージ名

(バージョンは省略)

mlf-manyo1

python3-matplotlib

python3-scipy

python3-pyside2.qtcore

python3-pyside2.qtgui

python3-pyside2.qtwidgets