Ubuntu 20.04/22.04/24.04 へのインストール(debian package版)#
- 著者:
稲村泰弘
- 最終更新日:
Sep. 4th, 2024
概要#
本章では空蟬環境をUbuntu 20.04/22.04/24.04 LTS に対しDebianバイナリパッケージでインストールする方法を示す。
なお、2024年9月現在で、対応しているMLFにおけるビームラインは以下の通りである。
BL(code) |
注意点 |
状況 |
---|---|---|
BL01(SIK) |
特になし |
対応済み |
BL02(DNA) |
QENSfitは含まず |
対応済み |
BL14(AMR) |
特になし |
対応済み |
BL11(HPN) |
Teuseは含まず |
対応済み |
BL15(SAS) |
Dviewは含まず |
対応済み |
動作環境#
本章で使用するパッケージの対象OSは以下の通りである。
Ubuntu Linux |
Architecture |
---|---|
24.04 LTS |
x86_64 (amd64) |
22.04 LTS |
|
20.04 LTS |
他のOS(CentOSなど)にインストールしたい場合は、CentOS 7 へのインストールマニュアルなどを参照のこと。 .. Ubuntuは、もっとも導入が優しいLinuxディストリビューションの一つであり、必要なライブラリが全てパッケージ化されていることから選択された。
事前の確認事項#
Ubuntu Linuxは目的のPCに既に導入されていることを想定 している。また極力OSで提供されているパッケージを利用するため、そのOSに対応したインストール用レポジトリにアクセスできる、つまりPCがネットに接続された状態にしておくこと。 インストールするためには root 権限が必要である。
古い空蟬(スクリプト版)の削除#
空蝉は、デフォルト設定では、下記の場所にインストールされている。
/opt/mlfsoft/
このフォルダがない場合(空蟬をインストールした経験がない)本節を無視して良い。
なお、過去にDebianパッケージによるインストールを行なっていた場合は 本節を行わずに次に進む こと。次節以降のインストール作業により、自動的に上書き(更新)される。
どのようにインストールされたかわからない場合は以下のコマンドで確認すること。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
Debianパッケージによってインストールされている場合は以下のように表示される。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
Desired=Unknown/Install/Remove/Purge/Hold
| Status=Not/Inst/Conf-files/Unpacked/halF-conf/Half-inst/trig-aWait/Trig-pend
|/ Err?=(none)/Reinst-required (Status,Err: uppercase=bad)
||/ Name Version Architecture Description
+++-================-==================-============-==========================>
ii mlf-manyo1:amd64 0.3.4.210713-ubu20 amd64 Manyo Library
Debianパッケージでインストールされていない場合は下記のように表示される。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
[sudo] password for hoge:
dpkg-query: no packages found matching mlf-manyo1
上記のように目的のUbuntuに、Debianパッケージでインストールされていなかった場合(スクリプトでインストールするタイプ、 すなわち”python3 Install.py”コマンドでインストールした場合)、下記のようにフォルダを削除する。
$ sudo rm -rf /opt/mlfsoft
手順の概要#
主な手順としては、以下の通りである。
インストール
Ubuntuのレポジトリ情報の更新
インストール用スクリプトの実行、もしくは各種パッケージ(mlf-manyo1パッケージ, mlf-utsusemi-with-ugaoパッケージなど)のインストール
環境設定
インストール#
Ubuntuのレポジトリ情報の更新#
Ubuntuのレポジトリ情報を最新にするために、以下のコマンドを実行する。
$ sudo apt update
このステップ以降、インターネットへの接続が必要であるが、このコマンドがエラーなく実行できていれば問題ない。 そのほかWebブラウザなどで確認することもできる。実際のネットワークの設定や、確認方法は割愛する。
簡易インストール#
最も簡単な方法はインストール用スクリプト( installUtsusemi_FromDebianPackages.sh )をダウンロードし、root権限で実行することである。
具体的には下記のように行う。
$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
[sudo] password for xxx:
これにより、Ubuntuのバージョン(20.04/22.04)に応じたパッケージファイルの最新版の全てが自動的にダウンロードされ、インストールされる。パッケージファイルは、上記のスクリプトを動作したフォルダ内にダウンロードされ、スクリプト内でroot権限 (sudo)にて実行される。インストール後にこれらのスクリプトやパッケージファイルは削除して良い。
なお、このスクリプトによりインストールされるパッケージは下記の通りである。
パッケージ名 |
インストール対象 |
必要なパッケージ |
BL |
---|---|---|---|
mlf-manyo1 |
万葉ライブラリ |
全BL共通 |
|
mlf-utsusemi-with-ugao |
空蟬一式(夕顔も含む) |
mlf-manyo1 |
全BL共通 |
mlf-utsusemi-sas |
BL15(大観)データ処理用コード |
mlf-utsusemi-with-ugao |
BL15 |
mlf-utsusemi-dna |
BL02(DNA)データ処理用コード |
mlf-utsusemi-with-ugao |
BL02 |
特定のビームラインのみ#
できるだけ不要なパッケージをインストールしたくない場合、使用したいビームライン環境に必要なパッケージのみダウンロードして直接インストールすることも可能である。
インストールスクリプトの引数として、使用したビームラインの装置コードを与えるだけである。
ビームライン |
コード |
名称 |
---|---|---|
BL01 |
SIK |
四季 |
BL02 |
DNA |
DNA |
BL11 |
HPN |
Planet |
BL14 |
AMR |
アマテラス |
BL15 |
SAS |
大観 |
以下は四季(SIK)に必要なパッケージをインストールする例である。
$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh SIK
[sudo] password for xxx:
なお、スクリプトでダウンロードされるパッケージについては下記のようになる。
Packages name |
BL01(SIK) |
BL02(DNA) |
BL11(HPN) |
BL14(AMR) |
BL15(SAS) |
---|---|---|---|---|---|
mlf-manyo1 |
o |
o |
o |
o |
o |
mlf-utsusemi-with-ugao |
o |
o |
o |
o |
o |
mlf-utsusemi-sas |
o |
||||
mlf-utsusemi-dna |
o |
実際のパッケージファイルの名前は、以下のように、パッケージ名にバージョン、ディストリブーション (ubu20, ubu22) やアーキテクチャ(amd64)などがついた名前となる。
ファイル名の例 |
---|
mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
ファイル名に含まれる 0.3.4 (mlf-manyo1) および 4.0 (mlf-utsusemi-with-ugao)はリリース番号と呼ばれ、比較的大きなバージョンアップがあった場合に新たに付与される。 210713 はソースコードの最終変更日でリリース番号とは独立にコードのアップデートとともに増加する。 ubu20 はインストール先のUbuntuのバージョン、 amd64 はCPUのタイプ(アーキテクチャ)を示す。
手動インストール#
スクリプトを使用せずにパッケージファイル個別にインストールする場合のやり方を示す。最新版のパッケージに何らかの不具合があった場合など、古いバージョンが必要となることもあるためである。
なおダウンロードは、空蝉インストールポータル( LINK )から可能であるが、古いパッケージに対するリンクはないので、ファイル名を直接入力すること。
万葉ライブラリと空蟬環境(+夕顔)#
パッケージ名は以下の二つである。
mlf-manyo1
mlf-utsusemi-with-ugao
この二つは、全てのビームライン(BL01, BL02, BL11, BL14, BL15)で必要である。
ダウンロードしたファイル(例: mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb , mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb )を以下のように指定して実行する。
まず、万葉ライブラリをインストールする。
$ sudo apt install ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
ここでファイルの指定として、フォルダなども含めたパス(フルパス)が必要である。上記は同じファイルと同じフォルダにいるので、 ./ で代用できる。下記のようにファイル名だけ書いてもエラーになるので注意すること。
$ sudo apt install mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
ERROR : Unable to locate package
なお、実行時のログは以下のようなものである。
$ sudo apt install ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
[sudo] password for hoge:
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
Note, selecting 'mlf-manyo1' instead of '/media/psf/Home/Ubuntu20.04/mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb'
The following additional packages will be installed:
libaec0 libboost-program-options1.71.0 libboost-serialization1.71.0 libgfortran5 libgsl23 libgslcblas0 libhdf4-0 libhdf5-103
libnexus1 libsz2
Suggested packages:
gsl-ref-psdoc | gsl-doc-pdf | gsl-doc-info | gsl-ref-html libhdf4-doc libhdf4-dev hdf4-tools
The following NEW packages will be installed:
libaec0 libboost-program-options1.71.0 libboost-serialization1.71.0 libgfortran5 libgsl23 libgslcblas0 libhdf4-0 libhdf5-103
libnexus1 libsz2 mlf-manyo1
0 upgraded, 11 newly installed, 0 to remove and 0 not upgraded.
Need to get 4,050 kB/5,722 kB of archives.
After this operation, 27.1 MB of additional disk space will be used.
Do you want to continue? [Y/n]
途中でインストール継続確認のメッセージが表示される。インストールに支障がなければ、 y を入力する。こののちインストールが始まる。特にエラーが起きていなければインストールは終了している。なお、aptのオプションに -y を加えておけば継続確認をされることはない。
$ sudo apt install -y ./mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb
次に空蟬環境(+夕顔)のインストールを下記のように実行する。
$ sudo apt install ./mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb
実行時のログは以下のようなものである。
$ sudo apt install ./mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
Note, selecting 'mlf-utsusemi-with-ugao' instead of '/media/psf/Home/Ubuntu20.04/mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210210-ubu20_amd64.deb'
The following additional packages will be installed:
blt fonts-lyx javascript-common libblas3 libdouble-conversion3 libjs-jquery libjs-jquery-ui liblapack3
(中略)
python3-pyside2.qtgui python3-pyside2.qtwidgets python3-scipy python3-tk qt5-gtk-platformtheme qttranslations5-l10n
tk8.6-blt2.5 ttf-bitstream-vera
0 upgraded, 40 newly installed, 0 to remove and 0 not upgraded.
Need to get 43.2 MB/63.7 MB of archives.
After this operation, 243 MB of additional disk space will be used.
Do you want to continue? [Y/n]
途中で確認のメッセージが表示される。インストールに支障がなければ、 y を入力する。こののちインストールが始まる。特にエラーが起きていなければ良い。
BL15環境のインストール#
BL15は別途専用パッケージがあるので、それをダウンロードし(例 : mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb)、同様に指定して実行する。
$ sudo apt install -y ./mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb
BL02環境のインストール#
BL02は別途専用パッケージがあるので、それをダウンロードし(例 : mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb)、同様に指定して実行する。
$ sudo apt install -y ./mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb
初期設定#
空蟬における初期設定は、
必要なデータフォルダの作成
データ処理用フォルダの作成
環境変数の設定
である。
なお、デフォルトのインストール先は、下記のようになっている。
デフォルト場所 |
説明 |
---|---|
/opt/mlfsoft/ |
万葉ライブラリや空蟬など、MLFで開発されたソフトウェアがインストールされる場所 |
データフォルダの作成#
データフォルダとはMLFでの使用ルールに則ってRAWデータを格納する場所である。
デフォルトの場所(既存の環境変数設定ファイルでの設定)は以下のようになる。
デフォルト場所 |
説明 |
---|---|
/data |
各分光器のイベントデータディレクトリが置かれる場所。 この場所に 解析に必要となる各装置のデータを置くためのフォルダである SIK/ AMR/ などが作成される。 |
この場所は、後述する環境設定アプリ内で設定できる DATA_DIR 設定、もしくは環境変数 ( UTSUSEMI_DATA_DIR )にて指定されている必要がある。
データフォルダは使用するBLのコードを使用して下記のように作成しておく。
$ sudo mkdir -p /data/SIK
$ sudo mkdir -p /data/AMR
$ sudo mkdir -p /data/HPN
$ sudo mkdir -p /data/SAS
$ sudo mkdir -p /data/DNA
デフォルトの場所 /data でなくても良いので、例えば下記のようにホームフォルダに作成して、環境設定アプリの DATA_DIR 設定で指定しても良い。
$ mkdir -p ~/data/SIK
データ処理用フォルダの作成#
空蟬の一部のデータ処理機能が作成する一時ファイルやユーザー専用のパラメータファイルなどを保存するためのフォルダを予め作成する作成しておく必要がある。
通常はユーザーのホームフォルダに ana というフォルダを作成し、その下に xml 及び tmp フォルダを作成する。
$ mkdir -p ~/ana/xml
$ mkdir -p ~/ana/tmp
この ana フォルダのある場所(上記の例ではホームフォルダ)は、後述する環境設定アプリ内での USR_DIR 設定、もしくは環境変数 UTSUSEMI_USR_DIR にて指定しておく必要がある。
さらにBL02の環境では、ホームフォルダに以下のようなフォルダ(ana/DNA)を作成して必要なファイルなどをコピーしておく必要がある。
$ mkdir -p ~/ana/DNA
$ cp -r /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/environ-home/ana/* ~/ana/DNA
環境設定#
環境設定とは空蟬を動作させるのに必要な環境変数を設定するもので、下記のコマンドを実行するだけである(コマンド実行のパスに空蟬の実行ファイル場所を追加)。
$ export PATH=/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/:${PATH}
この設定により、下記の空蟬アプリケーションが実行できるようになる。
Utsusemiアプリケーション |
説明 |
---|---|
EnvironSetting |
【初期設定】空蟬の各種設定を行う |
Sequencer, Ana |
SequenceEditorを起動する |
M2Plot |
M2Plot+を起動する |
MPlot |
MPlotを起動する |
D4mat |
【非弾性】D4MatSlicerを起動する |
D4mat2 |
【非弾性】D4Mat2Slicerを起動する |
UtsusemiShell |
空蟬環境ターミナル(bash)を起動する |
なお、インストール直後は、必ず一度 EnvironSetting を実行して、次節の空蟬環境設定を行うこと。
上記の PAHT の設定を行なって初期設定を終わらせれば上記のアプリケーションが起動し、そのアプリケーション上で処理が可能となる。
ただし、 PATH の設定だけではターミナル上では空蟬の内部コマンドやそれらを用いたスクリプトの実行はできない。ターミナル上でそれらを行いたい場合は UtsusemiShell を実行する。
$ UtsusemiShell
この状態であればターミナル上で空蟬のコマンドやスクリプトが実行できる。
もしくは下記のようなコマンドでも可能である。
source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv
もしログイン時から空蟬環境を有効にしたい場合は、例えば ~/.bashrc などに下記を追加しておけば良い。
# Utsusemi4 environments
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv ]; then
export PATH=${PATH}:/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin
# スクリプトをターミナルで実行する場合、以下が必要
source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/_loadenv
fi
空蟬環境設定#
空蟬環境設定はインストール直後に必ず最低一度は実行して設定を済ませる必要がある。未設定だと空蟬アプリケーションが起動しない。 インストールされたアプリ EnvironSetting を以下のように起動して行う。
$ EnvironSetting
このアプリケーションで設定できる内容は以下の通りである。
使用する装置環境(BL01, BL11, BL14, BL15)
データフォルダとデータ処理用フォルダ
ログを残すかどうか
GUIアプリのデフォルトフォントサイズ
高速化のための並列計算の数
デバッグモードのオン・オフ
よって、違う装置(ビームライン, BL)のデータを解析する場合は、この環境設定で装置環境を切り替える必要がある。
環境設定の項目は以下の通り。
設定(環境変数) |
役割 |
---|---|
Instrument |
解析に使用するデータの装置の選択を行う。 これにより、使用するRAWデータフォルダ、使用できるコマンドなどが変化する。 |
Log quiet |
解析コマンドのログを減らす場合に使用する。普段はYESで良い。 |
Font Size |
GUIアプリのフォントサイズを定義する。通常は12で良いだろう。 大きくしたり小さくしたりはできるが、GUIパーツ(ボタンなど)やレイアウトが崩れる可能性があるので注意。 |
Debug mode |
空蟬のデバッグモード。普段はNO(チェックボックスオフ)で良い。 |
Number of threads |
一部の解析コマンドが使用するマルチスレッドの最大値を設定する (通常は実行するPCのコアの数程度を設定すると良い) |
DATA_DIR |
イベントデータなどRAWデータを格納するフォルダ。(前項の例では /data や ~/data) |
USR_DIR |
空蟬が作成する一時ファイルを保存し、ユーザー専用のパラメータファイルが置かれるフォルダである。 通常このフォルダの下にanaフォルダが置かれる。(前項の例ではホームフォルダ ~/) なお指定したフォルダが存在しない場合は作成可能であれば作成される。 |
WORK_DIR |
空蟬アプリケーションを起動した時のカレントディレクトリを指定する。 |
(旧)環境変数の設定#
空蟬を使用する方法として環境変数自体を直接設定する方法もある。ただし手動で環境変数を変更するので、Linuxに慣れたユーザー以外は非推奨である。
空蟬を動作させるのに必要な環境変数を手動で設定する。それらはBLごとに異なり、雛形となるファイルはそれぞれ下記の場所にある。
対象BL |
設定ファイル |
---|---|
BL01(四季) |
/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK |
BL02(DNA) |
/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.SIK |
BL10(PLANET) |
/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN |
BL14(アマテラス) |
/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR |
BL15(大観) |
/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS |
これらの雛形ファイルにおける、空蟬用環境変数は以下のようになる。
環境変数 |
デフォルト値 |
役割、意味 |
---|---|---|
UTSUSEMI_INST_CODE |
<inst-code> |
装置コード(SIK,AMRなど) |
UTSUSEMI_DATA_DIR |
“/data” |
データフォルダの指定 |
UTSUSEMI_USR_DIR |
${UTSUSEMI_USR_DIR-${HOME}} |
ユーザーのフォルダ(デフォルトはホームフォルダ) |
UTSUSEMI_LOG_QUIET |
n |
データ処理実行時のログ表示。”Y”だとかなり減る |
UTSUSEMI_MULTH |
8 |
データ処理実行時のマルチプロセッシングの数 |
UTSUSEMI_DEBUGMODE |
n |
デバッグ用フラグ(デフォルトnで良い) |
これらのファイルに書かれている環境変数の設定を有効にするには、以下のようなコマンドを実行する。
$ source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK
===========================================
Welcome to Utsusemi Environment for SIK
ver 4.0
===========================================
Ana : Sequencer
M2Plot: M2PlotPlus
D4mat : D4MatSlicer
D4mat2: D4Mat2Slicer
===========================================
ただ、このやり方では扱いにくいので、下記のような設定を、例えば “~/.bashrc”に追記するとよい。
# Utsusemi4 environments
# For BL01 (SIK)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK ]; then
alias SIK="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SIK/bashrc.py3.SIK"
fi
# For BL02 (DNA)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.DNA ]; then
alias DNA="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/DNA/bashrc.py3.DNA"
fi
# For BL11 (HPN)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN ]; then
alias HPN="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/HPN/bashrc.py3.HPN"
fi
# For BL14 (AMR)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR ]; then
alias AMR="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/AMR/bashrc.py3.AMR"
fi
# For BL15 (SAS)
if [ -f /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS ]; then
alias SAS="source /opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/SAS/bashrc.py3.SAS"
fi
これを”~/.bashrc”に追記したのち、有効にするために以下のようにコマンドを打つ。
$ source ~/.bashrc
もしくは、ターミナルを閉じて、再度開くと有効となっている。
環境が有効になったかどうかは、それぞれの分光器の環境へ移るためのキーワードを打ち込む。キーワードは、各分光器の略称である。
装置 |
キーワード |
---|---|
四季(BL01) |
SIK |
DNA (BL02) |
DNA |
プラネット(BL11) |
HPN |
アマテラス(BL14) |
AMR |
大観(BL15) |
SAS |
例えば四季の場合なら以下のように表示される。
$ SIK
===========================================
Welcome to Utsusemi Environment for SIK
ver 4.0
===========================================
Ana : Sequencer
M2Plot: M2PlotPlus
D4mat : D4MatSlicer
D4mat2: D4Mat2Slicer
===========================================
$
BL01 (SIK) の環境への移行が完了したことがわかるメッセージが表示される。
なお、自分の環境で個別に環境変数を設定したい場合は、それぞれのbashrc.py3.XXXファイルをコピーして改変すれば良いだろう。特にデータファイルの置き場所を変更した場合、例えばホームフォルダ以下に設置する場合などには、 UTSUSEMI_DATA_DIR の設定を変更した bashrc.py3.XXX を準備し、.bashrc内で設定を有効にするようにすれば良いだろう。
ただし詳細は述べない。
空蟬の実行#
初期設定が正しく終わっていれば、ターミナルから空蟬アプリケーション、もしくは空蟬コマンドが実行できる。例えば空蟬の基本GUIであるSequencerの起動は以下のようになる。
$ Sequencer
もしくは
$ Ana
そのほか前節で示したような、 M2Plot , D4mat , D4mat2 といったアプリケーションも同様に起動できる。
空蟬のバージョン確認#
空蟬のバージョンの確認方法を示す。バグなどの報告や、アップデートする際の目安となる。 前節の空蟬環境の有効化を済ませたのちに下記のコマンドを入力する。
$ python3
>>> import utsusemi
>>> utsusemi.__version__
'4.0.220825'
もしくは
$ python3
>>> import UtsusemiInfo
---------------------------------------------
Utsusemi Info
---------------------------------------------
version : 4.0 (rev 220825)
Contact person : Yasuhiro Inamura
e-mail : yasuhiro.inamura@j-parc.jp
---------------------------------------------
Manyo>>>
リリース番号とバージョン番号が表示される。何か空蟬で問題が発生した場合はこの情報も一緒に連絡すること。もしくはパッケージ自体のバージョンでも良い。
$ sudo apt show mlf-utsusemi-with-ugao
[sudo] password for hoge:
Package: mlf-utsusemi-with-ugao
Version: 4.0.210816-ubu20
Status: install ok installed
(後略)
アンインストール#
アンインストールを行う場合は下記のコマンドを実行すれば良い。順番はインストールの時の逆順で、 mlf-utsusemi-dna, mlf-utsusemi-sas, mlf-utsusemi-with-ugao、最後に mlf-manyo1 である。
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-dna
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-sas
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-with-ugao
$ sudo apt remove mlf-manyo1
なお、まだいくつかの関連するフォルダがあるので、必要に応じて削除する。
インストール時に作成したデータフォルダの削除は下記のように行うことができる。
$ rm -rf /data
また、一時ファイル保存フォルダは下記のように削除可能である。
$ rm -rf ~/ana
問題が発生した場合#
インストール時にエラーや予期せぬ状態になった場合、使用したOSとインストール方法を確認して手順に問題がないようなら、担当者(著者)へ状況報告をお願いしたい。
インストール後の動作に問題が発生した場合は、前節に示した空蟬のバージョンを確認し、発生した事象を担当者(著者)まで報告していただきたい。
その他の情報#
万葉ライブラリパッケージ(mlf-manyo1)に必須のパッケージは以下の通りである。
パッケージ名(バージョンは省略) |
---|
libboost-system |
libboost-filesystem |
libboost-serialization |
libboost-program-options |
libgsl |
libhdf5 |
libnexus |
libssl |
空蟬環境パッケージ(mlf-utsusemi-with-ugao)に必須のパッケージは以下の通りである。
|
---|
mlf-manyo1 |
python3-matplotlib |
python3-scipy |
python3-pyside2.qtcore |
python3-pyside2.qtgui |
python3-pyside2.qtwidgets |