Ubuntu / Mint Linuxへのバイナリインストール#
- 著者:
稲村泰弘
- 最終更新日:
May. 19th, 2025
- 対応空蟬リリース:
4.0 or later
概要#
本章では空蟬環境をUbuntu / Mint Linux に対しDebianバイナリパッケージでインストールする方法を示す。
なお、2025年5月現在で、対応しているビームラインは以下のとおりである。
BL(code) |
注意点 |
状況 |
---|---|---|
BL01(SIK) |
特になし |
対応済み |
BL02(DNA) |
QENSfitは含まず |
対応済み |
BL14(AMR) |
特になし |
対応済み |
BL11(HPN) |
Teuseは含まず |
対応済み |
BL15(SAS) |
Dviewは含まず |
対応済み |
動作環境#
本章で使用するパッケージの対象OSは以下の通りである。
Distribution |
Available versions |
Available Architecture |
---|---|---|
Ubuntu Linux |
22.04LTS / 24.04LTS |
x86_64 (amd64) |
Mint Linux |
22 / 23 |
他のOS(CentOSなど)にインストールしたい場合は、CentOS 7 へのインストールマニュアルなどを参照のこと。 .. Ubuntuは、もっとも導入が優しいLinuxディストリビューションの一つであり、必要なライブラリが全てパッケージ化されていることから選択された。
事前の確認事項#
Ubuntu Linux もしくはMint Linuxは既に目的のPCに導入されていることを想定 している。また極力OSで提供されているパッケージを利用するため、そのOSに対応したインストール用レポジトリにアクセスできる、つまりPCがネットに接続された状態にしておくこと。 インストールするためには root 権限が必要である。
古い空蟬(スクリプト版)の削除#
空蝉は、デフォルト設定では、下記の場所にインストールされている。
/opt/mlfsoft/
このフォルダがない場合(空蟬をインストールした経験がない)本節を無視して良い。
なお、過去にDebianパッケージによるインストールを行なっていた場合は 本節を行わずに次に進む こと。次節以降のインストール作業により、自動的に上書き(更新)される。
どのようにインストールされたかわからない場合は以下のコマンドで確認すること。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
Debianパッケージでインストールされていない場合は下記のように表示される。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
[sudo] password for hoge:
dpkg-query: no packages found matching mlf-manyo1
この場合、下記のようにフォルダを削除する。
$ sudo rm -rf /opt/mlfsoft
なお、Debianパッケージによってインストールされている場合は以下のように表示される。
$ sudo dpkg -l mlf-manyo1
Desired=Unknown/Install/Remove/Purge/Hold
| Status=Not/Inst/Conf-files/Unpacked/halF-conf/Half-inst/trig-aWait/Trig-pend
|/ Err?=(none)/Reinst-required (Status,Err: uppercase=bad)
||/ Name Version Architecture Description
+++-================-==================-============-==========================>
ii mlf-manyo1:amd64 0.3.4.210713-ubu20 amd64 Manyo Library
こちらの場合、新しいDebianパッケージをインストールすることで上書きされる。
手順の概要#
主な手順としては、以下の通りである。
インストール
Ubuntu / Mint linuxのレポジトリ情報の更新
インストール用スクリプトの実行、もしくは各種パッケージ(mlf-manyo1パッケージ, mlf-utsusemi-with-ugaoパッケージなど)のインストール
環境設定
インストール#
Ubuntuのレポジトリ情報の更新#
Ubuntuのレポジトリ情報を最新にするために、以下のコマンドを実行する。
$ sudo apt update
このステップ以降、インターネットへの接続が必要であるが、このコマンドがエラーなく実行できていれば問題ない。 そのほかWebブラウザなどで確認することもできる。実際のネットワークの設定や、確認方法は割愛する。
インストール手順#
インストール用スクリプト( installUtsusemi_FromDebianPackages.sh )をダウンロードし、root権限で実行する。古いスクリプトがあった場合は削除しておく。
具体的には下記のように行う。
$ rm -f installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
[sudo] password for xxx:
これにより、Ubuntuのバージョン(20.04/22.04)に応じたパッケージファイルの最新版の全てが自動的にダウンロードされ、インストールされる。パッケージファイルは、上記のスクリプトを動作したフォルダ内にダウンロードされ、スクリプト内でroot権限 (sudo)にて実行される。インストール後にこれらのスクリプトやパッケージファイルは削除して良い。
なお、このスクリプトによりインストールされるパッケージは下記の通りである。
パッケージ名 |
インストール対象 |
必要なパッケージ |
BL |
---|---|---|---|
mlf-manyo1 |
万葉ライブラリ |
全BL共通 |
|
mlf-utsusemi-with-ugao |
空蟬一式(夕顔も含む) |
mlf-manyo1 |
全BL共通 |
mlf-utsusemi-sas |
BL15(大観)データ処理用コード |
mlf-utsusemi-with-ugao |
BL15 |
mlf-utsusemi-dna |
BL02(DNA)データ処理用コード |
mlf-utsusemi-with-ugao |
BL02 |
特定のビームラインのみ#
できるだけ不要なパッケージをインストールしたくない場合、使用したいビームライン環境に必要なパッケージのみダウンロードして直接インストールすることも可能である。
インストールスクリプトの引数として、使用したビームラインの装置コードを与えるだけである。
ビームライン |
コード |
名称 |
---|---|---|
BL01 |
SIK |
四季 |
BL02 |
DNA |
DNA |
BL11 |
HPN |
Planet |
BL14 |
AMR |
アマテラス |
BL15 |
SAS |
大観 |
以下は四季(SIK)に必要なパッケージをインストールする例である。
$ rm -f installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ wget https://cdn.mlf.plus/ce/Utsusemi4/Downloads/installUtsusemi_FromDebianPackages.sh
$ sudo bash ./installUtsusemi_FromDebianPackages.sh SIK
[sudo] password for xxx:
なお、スクリプトでダウンロードされるパッケージについては下記のようになる。
Beamline |
mlf-manyo1 + mlf-utsusemi-with-ugao |
mlf-utsusemi-dna |
mlf-utsusemi-sas |
---|---|---|---|
BL01(SIK) |
o |
||
BL02(DNA) |
o |
o |
|
BL11(HPN) |
o |
||
BL14(AMR) |
o |
||
BL15(SAS) |
o |
o |
実際のパッケージファイルの名前は、以下のように、パッケージ名にバージョン、ディストリブーション (ubu20, ubu22) やアーキテクチャ(amd64)などがついた名前となる。
ファイル名の例 |
---|
mlf-manyo1_0.3.4.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-with-ugao_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-sas_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
mlf-utsusemi-dna_4.0.210713-ubu20_amd64.deb |
ファイル名に含まれる 0.3.4 (mlf-manyo1) および 4.0 (mlf-utsusemi-with-ugao)はリリース番号と呼ばれ、比較的大きなバージョンアップがあった場合に新たに付与される。 210713 はソースコードの最終変更日でリリース番号とは独立にコードのアップデートとともに増加する。 ubu20 はインストール先のUbuntuのバージョン、 amd64 はCPUのタイプ(アーキテクチャ)を示す。
環境設定#
環境設定とは空蟬を動作させるのに必要な環境変数を設定するものであるが、下記のコマンドを実行する。
$ export PATH=/opt/mlfsoft/python-utsusemi/utsusemi/bin/:${PATH}
これはインストールされた空蝉の実行コマンドのパスを、Linuxの実行パス環境変数( PATH )に追記するものであるが、これにより、いくつかの空蝉アプリケーションが実行できるようになる。詳細は「バイナリ版インストール及び環境設定」にある。
アンインストール#
アンインストールを行う場合は下記のコマンドを実行すれば良い。順番はインストールの時の逆順で、 mlf-utsusemi-dna, mlf-utsusemi-sas, mlf-utsusemi-with-ugao、最後に mlf-manyo1 である。
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-dna
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-sas
$ sudo apt remove mlf-utsusemi-with-ugao
$ sudo apt remove mlf-manyo1
なお、まだいくつかの関連するフォルダがあるので、必要に応じて削除する。
インストール時に作成したデータフォルダの削除は下記のように行うことができる。
$ rm -rf /data
また、一時ファイル保存フォルダは下記のように削除可能である。
$ rm -rf ~/ana
問題が発生した場合#
インストール時にエラーや予期せぬ状態になった場合、使用したOSとインストール方法を確認して手順に問題がないようなら、担当者(著者)へ状況報告をお願いしたい。
インストール後の動作に問題が発生した場合は、前節に示した空蟬のバージョンを確認し、発生した事象を担当者(著者)まで報告していただきたい。
その他の情報#
万葉ライブラリパッケージ(mlf-manyo1)に必須のパッケージは以下の通りである。
パッケージ名(バージョンは省略) |
---|
libboost-system |
libboost-filesystem |
libboost-serialization |
libboost-program-options |
libgsl |
libhdf5 |
libnexus |
libssl |
空蟬環境パッケージ(mlf-utsusemi-with-ugao)に必須のパッケージは以下の通りである。
|
---|
mlf-manyo1 |
python3-matplotlib |
python3-scipy |
python3-pyside2.qtcore |
python3-pyside2.qtgui |
python3-pyside2.qtwidgets |