4SEASONS(SIK), AMATERAS(AMR)専用#
- 最終更新日:
2022.03.18
概要#
空蟬・非弾性散乱環境とは、空蟬で実装されている非弾性散乱実験でのデータ解析用に作成された一連のソフトウェア環境を指す。主な構成要素としては、
解析実行環境ソフトウェア
可視化ソフトウェア
がある。解析実行環境ソフトウェアの要として、SequenceEditorと呼ばれるコマンド実行環境ソフトウェアがあり、そこに登録されているコマンド群を順次実行する事でデータリダクション(データ収集システムが出す生データを処理する過程)を行う。
本マニュアルでは、主にSequenceEditorに登録されている、中性子非弾性散乱のデータ用、特に四季やアマテラス用に作成された解析コマンドを中心に解説を行う。 なお空蟬および非弾性散乱用の環境(四季やアマテラスの環境)の構築には触れない。
解析実行環境の起動#
解析用シーケンサープログラムの起動#
$ Ana
もしくは
$ python /opt/mlfsoft/python-utsusemi/ana/Sequencer2.py
基礎知識#
イベントデータの保存先(MLFでの測定中もしくは直後)#
SIK(四季)、AMR(アマテラス)のイベントデータ保存先を示す。
データストレージ
MLFにおけるデフォルトのストレージ(マウント)の場所 /data/XXX (XXXは装置コード)
データの扱い#
各ピクセルのヒストグラムは、X(横軸)、Y(強度)、E(エラー)を一セットとして、ElementContainerと呼ばれる入れ物(データコンテナ)に納められた状態で取り扱う。
データコンテナは、基本的にPSD毎にまとめられて、ElementContainerArrayと呼ばれるデータコンテナへ登録されている。
さらにPSDをまとめるElementContainerMatrixデータコンテナへ登録される。
これらのコンテナは、含まれているフォーマットが等しければ、互いに四則演算が行える。さらに単独での定数倍が行える。
詳細は万葉ライブラリユーザーマニュアル(Japanese Only)を参照のこと。
コマンド一覧#
Group |
Commands |
|
---|---|---|
DR |
GetDataOfWhite |
白色中性子測定のイベントデータをヒストグラム化し、各種補正を行う |
GetDataOfMonochroEi |
(最初期に作成された関数で現在使用不可能) |
|
GetDataOfMonochroEi2 |
単色中性子測定のイベントデータをヒストグラム化し、各種補正を行う |
|
GetDataOfMonochroEi3 |
上のGetDataOfMonochroEi2の時間スライスができるようにしたもの(現在のデフォルト) |
|
ToPowder |
Energy Transferへ変換後のデータに対し円環平均をとる |
|
MakeRunList |
指定したRun Noの測定情報を取り出す |
データリダクション連続処理グループ:DR#
データリダクション個別処理グループ:Cmm#
SIK, AMRにおいてCmmグループは、「空蟬基本関数リファレンス」 と同じであるので、そちらを参照のこと(それぞれのコマンドにリンクあり)。
- GetNeunetHist
各種パラーメータ指定により、イベントデータの様々なヒストグラム化を行う。全てのヒストグラム化の基礎関数。
- DetectorEffi
検出器の検出効率補正を行う。
- GetMultiEi
イベントデータから最小限の処理で入射エネルギーを計算する。複数の入射エネルギーに対応。中身は基本関数の GetEiFromEvent である。
- GetEi
指定したPixelをビームモニターと見なし入射エネルギーを計算する。
- NormByBeamCurrent
中性子源への陽子ビーム強度で測定データの規格化を行う。
- NormByKickers
イベントデータをヒストグラム化したElementContainerMatrixに対し、中性子発生回数(キッカー数)で規格化する。
- SolidAngleCorrection
各Pixelの計算された立体角で強度を補正。
- KiKfCorrection
散乱因子のki/kf補正を行う。
- DoMask
不要なセグメントを除去するためのマスク処理を行う。
- ToPowder
Energy Transferへ変換後のデータに対し円環平均をとる。
- RadialCollimatorCorrect
RadialCollimatorによるバックグランドを補正する。
- VisContMOutputFileByPhi
単結晶試料解析のスライスデータを出力する。
- BoseFactorCorrection
ボーズ因子の補正を行う。
- BoseFactCorrEC
ボーズ因子の補正をElementContainerに対し行う。
- DymPDF
動的対相関関数による処理を行う。
- FlexCalc
エネルギー遷移変換後のデータに対し、自由な式で強度の補正を行う。
- GetOrigPixelFromQXtalParam
XtalParamファイルによって与えた結晶情報などを利用し、逆格子空間座標(Q,hw)から検出器Pixelを計算する。
- GetOrigPixelFromQString
与えた結晶情報などを利用し、逆格子空間座標(Q,hw)から検出器Pixelを計算する。
- CalcYRotAngleFromQXtalParam
XtalParamファイルによって与えた結晶情報などを利用し、逆格子空間座標(Q,hw)を観測するために必要な回転角度と観測されるPixelを計算する。
- CalcYRotAngleFromQString
与えた結晶情報などを利用し、逆格子空間座標(Q,hw)を観測するために必要な回転角度と観測されるPixelを計算する。
- SumOfTOF
あるPSDに対して、飛行時間方向の和をとる。
- SumOfPixel
複数のPixelの和をとる。
- PickUpRegion
特定のPSD,Pixel領域を抜き出して、新しいデータを作成する。
- GetPH
GetNeunetHistでパルス波高値込みで作成したデータからパルス波高値を取り出す。
- NormByBeam
中性子源への陽子ビーム強度で測定データの規格化を行う。(測定開始、終了時刻は手入力)
- getBeamCurrent
中性子源への陽子ビーム強度を返す。
- SaveDataToNxspe
非弾性散乱処理を行なったデータコンテナ(ElementContainerMatrix)をHoraceのフォーマットであるNXSPEファイルとして書き出す。LoadDataFromNxspe
- LoadDataFromNxspe
HoraceのフォーマットであるNXSPEファイルを変換して空蟬で使用できるElementContainerMatrixに変換して読み込む。
- SaveDataToSPE
データをISISのデータフォーマットのSPEファイルとして書き出す。
- SaveDataToManyoBinary
万葉ライブラリのデータコンテナを万葉ライブラリ標準のバイナリファイルとして書き出す。
- LoadDataFromManyoBinary
万葉ライブラリ標準のバイナリファイルとして書き出されたデータコンテナを読み込む。
- SaveDataToDAVEgrp
与えられたELementContainerMatrixデータをDAVE用のフォーマットに変換して書き出す。
- SavePowderDataToText
ToPowder処理されたデータをテキスト出力。
- SaveDataToDump
データをファイルに書き出す。
- LoadDataFromDump
ファイルに書き出されたデータを読み込む。
- SaveDataToSrlz
与えたElementContainer, -Array, -MatrixデータをManyoライブラリシリアライズフォーマットに書き出す。このフォーマットは非常に高速に読み書きができるが、そのPCの環境に依存するので、他のPC(同じOSでも)で読み込むことはできない。
- LoadDataFromSrlz
Manyoライブラリシリアライズフォーマットからデータを取り出す。このフォーマットは非常に高速に読み書きができるが、そのPCの環境に依存するので、他のPC(同じOSでも)で作成されたファイルを読み込むことはできない。
- SaveDataToNeXus
NeXusフォーマットで書き出す。
- GetDataFromNeXus
NeXusフォーマットのデータを読み込む。
- AppendRawDataFiles
複数のRaw Data(イベントデータ)を結合し、別データとして保存する。
- VisContMOutputFigure
VisualContM上でのスライスを行い画像を保存する。
共通データ一般処理(グループ:Com)#
共通データ一般処理(グループ:Com) を参照のこと。