D4matSlicerマニュアル(多次元系単結晶試料非弾性散乱測定の可視化)

更新日

2017.07.31

著者

稲村泰弘

概要

多次元系単結晶試料に対する非弾性散乱測定において、広い運動量空間をカバーするためには、試料に対する入射中性子の方位の異なる測定を複数回行い一つの運動量エネルギー空間にデータを纏める必要がある。

D4matSlicer はそのように測定されたデータを一つに融合(マージ)し、データのスライスを行って可視化することのできるソフトウェアである。 また同時に、測定前に実験条件、すなわち入射中性子エネルギー、入射方位の領域やステップ幅など、を決めるためのシミュレーター(仮想データ作成)としての機能も持つ。

なお、このソフトウェアはPythonのコマンドラインで全ての機能を実行可能である。詳細は 「D4MatSlicer(Step By Step回転測定)用コマンド」 を参照のこと。

主な機能

D4matSlicerは主に以下のような機能を持つ。

  1. D4Matデータの可視化:D4Matデータを開いてデータに対してスライスし可視化する

  2. 実験条件調査用機能:仮想データを作成し、D4Matデータに必要な範囲を見積もったり、実際にスライスできる

  3. D4Matデータ作成:各方位のデータ(Step-by-Step測定)のVisualContMデータファイル(vbinファイル)を読み込んで一つのD4Matデータにマージする

起動方法

Linuxの場合

空蟬の動作する環境でD4matと打つ(環境設定が済んでいることが前提)

Windows, MacOSの場合

アプリ起動メニューやアプリケーションフォルダのアイコンから、D4matを起動する。

インターフェース

D4MatSlicerは主に二つのウィンドウがある。以下にそれらの概要を示す。

メインウィンドウ

fig01

起動直後に出てくる画面である。ここから、

  1. D4Matデータを開き

  2. 必要なら測定データのVisualContMデータファイル(vbinファイル)を読み込んで統合し

  3. スライスしプロット

を行うことができる。

またここから、仮想データ作成用のサブウィンドウを開くこともできる。

サブウインドウ

fig02

この画面では、測定条件と試料情報を入力して仮想データを作成したり、そのパラメータを利用して実データを収めるための空のD4Matデータを作成できる。

使用マニュアル

本章では、以下のような3つのユースケースに沿って手順を示す。

  1. すでにあるD4Matデータを開いて可視化する

  2. 仮想データを作成し可視化を行う

  3. 空のD4Matデータを作成し、そこへ各方位のデータであるVisualContMデータファイル(vbinファイル)を読み込んでマージしたデータを可視化する。

  4. スライス速度向上のためD4Matデータをリビニングする

  5. 二つのD4Matデータ間で四則演算(主に引き算)を行う