4SEASONS(SIK), AMATERAS(AMR)専用

概要

空蟬・非弾性散乱環境とは、空蟬で実装されている非弾性散乱実験でのデータ解析用に作成された一連のソフトウェア環境を指す。主な構成要素としては、

  • 解析実行環境ソフトウェア

  • 可視化ソフトウェア

がある。解析実行環境ソフトウェアの要として、SequenceEditorと呼ばれるコマンド実行環境ソフトウェアがあり、そこに登録されているコマンド群を順次実行する事でデータリダクション(データ収集システムが出す生データを処理する過程)を行う。

本マニュアルでは、主にSequenceEditorに登録されている、中性子非弾性散乱のデータ用、特に四季やアマテラス用に作成された解析コマンドを中心に解説を行う。 なお空蟬および非弾性散乱用の環境(四季やアマテラスの環境)の構築には触れない。

解析実行環境の起動

解析用シーケンサープログラムの起動

$ Ana
もしくは
$ python /opt/mlfsoft/python-utsusemi/ana/Sequencer2.py

基礎知識

イベントデータの保存先(MLFでの測定中もしくは直後)

SIK(四季)、AMR(アマテラス)のイベントデータ保存先を示す。

測定直後

  • DAQ CPU0 /data/DAQ0

  • DAQ CPU1 /data/DAQ1

  • DAQ CPU2 /data/DAQ2

データストレージ

解析を行うときは原則DAQからデータストレージへのコピーを行わなければならない。ただし、 測定終了後に一度行えばそれ以降は不必要である

  • ストレージの場所 /data/XXX (XXXは装置コード)

  • コマンド(シーケンサ上) CopyData

データの扱い

  • 各ピクセルのヒストグラムは、X、y、エラーを一セットとして、ElementContainerと呼ばれる入れ物(データコンテナ)に納められた状態で取り扱う。

  • データコンテナは、基本的にPSD毎にまとめられて、ElementContainerArrayと呼ばれるデータコンテナへ登録されている。

  • さらにPSDをまとめるElementContainerMatrixデータコンテナへ登録される。

  • これらのコンテナは、含まれているフォーマットが等しければ、互いに四則演算が行える。さらに単独での定数倍が行える。

詳細は万葉ライブラリユーザーマニュアル(Japanese Only)を参照のこと。

コマンド一覧

Group

Commands

DR

CopyData

解析に用いるためにイベントデータを準備する。

GetDataOfWhite

白色中性子測定のイベントデータをヒストグラム化し、各種補正を行う。

GetDataOfMonochroEi

単色中性子測定のイベントデータをヒストグラム化し、各種補正を行う。

GetDataOfMonochroEi2

上のGetDataOfMonochroEiのメモリ削減バージョン。できればこちらを使ってください。

GetDataOfMonochroEi3

上のGetDataOfMonochroEi2の時間スライスができるようにしたもの。

ToPowder

Energy Transferへ変換後のデータに対し円環平均をとる

MakeRunList

指定したRun Noの測定情報を取り出す

データリダクション個別処理グループ:Cmm

SIK, AMRにおいてCmmグループは、「空蟬基本関数リファレンス」 と同じであるので、そちらを参照のこと。

  • DetectorEffi

    検出器の検出効率補正を行う。

  • CopyData

    解析に用いるためにイベントデータを準備する。

  • GetNeunetHist

    各種パラーメータ指定により、イベントデータの様々なヒストグラム化を行う。

  • GetMultiEi

    イベントデータから最小限の処理で入射エネルギーを計算する。複数の入射エネルギーに対応。中身は基本関数の GetEiFromEvent である。

  • GetEi

    指定したPixelをビームモニターと見なし入射エネルギーを計算する。

  • NormByBeamCurrent

    中性子源への陽子ビーム強度で測定データの規格化を行う。

  • SolidAngleCorrection

    各Pixelの計算された立体角で強度を補正。

  • KiKfCorrection

    散乱因子のki/kf補正を行う。

  • DoMask

    不要なセグメントを除去するためのマスク処理を行う。

  • ToPowder

    Energy Transferへ変換後のデータに対し円環平均をとる。

  • VisContMOutputFileByPhi

    単結晶試料解析のスライスデータを出力する。

  • BoseFactorCorrection

    ボーズ因子の補正を行う。

  • BoseFactCorrEC

    ボーズ因子の補正をElementContainerに対し行う。

  • FlexCalc

    エネルギー遷移変換後のデータに対し、自由な式で強度の補正を行う。

  • SumOfTOF

    あるPSDに対して、飛行時間方向の和をとる。

  • SumOfPixel

    複数のPixelの和をとる。

  • PickUpRegion

    特定のPSD,Pixel領域を抜き出して、新しいデータを作成する。

  • GetPH

    GetNeunetHistでパルス波高値込みで作成したデータからパルス波高値を取り出す。

  • NormByBeam

    中性子源への陽子ビーム強度で測定データの規格化を行う。(測定開始、終了時刻は手入力)

  • getBeamCurrent

    中性子源への陽子ビーム強度を返す。

  • SaveDataToSPE

    データをISISのデータフォーマットのSPEファイルとして書き出す。

  • SavePowderDataToText

    ToPowder処理されたデータをテキスト出力。

  • SaveDataToDump

    データをファイルに書き出す。

  • LoadDataFromDump

    ファイルに書き出されたデータを読み込む。

  • SaveDataToNeXus

    NeXusフォーマットで書き出す。

  • GetDataFromNeXus

    NeXusフォーマットのデータを読み込む。

  • AppendRawDataFiles

    複数のRaw Data(イベントデータ)を結合し、別データとして保存する。

  • VisContMOutputFigure

    VisualContM上でのスライスを行い画像を保存する。

  • MakeWhiteVanCorr

    (未実装)White Vanadiumの測定データから補正用データを作成する。

  • WhiteVanCorr

    (未実装)White Vanadiumの補正用データでの補正。

  • TofToEnergyTransfer

    TOFのヒストグラムをエネルギー遷移のデータへ変換する。

  • TofToEnergyTransferStrict

    TOFのヒストグラムをエネルギー遷移のデータへ変換する(明確なエネルギー範囲を指定可)。

共通データ一般処理(グループ:Com)

共通データ一般処理(グループ:Com) を参照のこと。